土地建物の買収

不動産買収
不動産買収

 現在、渋谷駅周辺では100年に一度といわれる都市再開発が行われています。他にも高度経済成長期の建物が老朽化し、その建て替えに伴い周辺を含めた再開発が、新宿駅前・東京駅前・虎ノ門・六本木など大きな駅周辺で行われています。都心に近いエリアでは、駅前を中心にしたり、街道に沿ったエリアを指定して開発する土地区画整理事業が行われている地区もあります。横浜市では綱島駅前や瀬谷区二ツ橋町などです。

 また道路の拡張やバイパス道路の整備など道路買収して既存の街を再開発している地区もあります。大規模な再開発事業と異なり、このような場合、個人が関係地権者となり、初めて買収や物件移転の当事者となる方も多いものです。宝くじに当たったようなものだと言われることもありますが、長年作りあげてきた土地、建物、近所とのつながりや生活をいったん中断し、再び新たに作りなおすことは大きな負担といえます。移転の計画があることはわかっていたものの、明確に移転の時期がわかっているケースは多くないでしょう。

 再開発事業や土地区画整理事業の場合、形状や場所が変わるものの、床や換地といった土地が用意され、建物を新築することになります。買収の場合は、代替地が用意されることもありますが、対象区域外へ新たな土地や住まいを探し移転することになります。それぞれの流れを解説していきましょう

1 時期

 まず、時期の問題です。買収の場合は、道路や施設の計画線が明らかになっていて、ある程度進捗状況から時期がわかるケースが多いと思います。希望することで先行して買収を受けることができるケースもあります。再開発事業や土地区画整理事業の場合は、対象エリアが決まっていて、自分が移転対象者かどうかはわかるものです。ただいつ移転するのか難しいものです。通常は水道や下水道管の整備を伴うことから流末から着手されるケースが多いでしょう。いずれの場合も事業施行者への問い合わせ、または事業説明会での情報収集で判断する必要があります。

 事業施行者が地方公共団体の場合、移転時期の判断はより難しいものです。対象者の意向などに加えて予算の問題があります。移転補償費用は事業費に計上されていて、多くの場合に国からの補助金を含んでいます。地方公共団体が国土交通省へ年度ごとに計画と必要予算を要求し、国土交通省が財務省へ要求する流れです。国の補助金が決まることで、自治体の負担分が決まります。国からの補助金は年度必要額の全額ではなく、約半分程度であり、残りは自治体の負担になります。自治体も裕福ではなく一部を公債という形で調達しますが、上限が設けられています。また事業が進まなかったからといって、国からの補助金を返すことは基本的にできません。国土交通省が財務省に返しづらいからでしょう。このため年度事業費額確定には慎重にならざるをえないことから、移転の時期が流動的になりやすいのです。

2 移転交渉

 移転交渉担当者から連絡がくると、いよいよ忙しくなります。まずは自分が立ち退くのか、仮住まいし戻るのか、一部が切り取られ改築が必要なのか、そのスケジュールはどうなっているのかが、最初の課題になります。立ち退きであれば、いつまでに移転先を探し出ていくことが必要で、その補償金がいくらになるかが課題になります。仮住まいとなると、工事の日程からいつまで仮住まいするのか、どこにどんな画地へ戻ってくるのか、そのスケジュールと補償金が課題になります。一部切り取りならば、どこがどのように取られるのか、現在の機能はどのように復元、改築されるのか、その補償金はどうなるのかが課題でしょう。一方の移転交渉担当者は、いつまでにいくらで移転してもらえるか、同意してもらうには何が必要なのかが課題でしょう。課題を抱える双方ですが、必ずしも補償金の額だけではなく、そもそも開発に反対というケースもあり、または時期が問題、担当者が問題など様々な理由で困難なことが多く、千差万別、交渉の数だけ交渉の形があるものです。こんな移転交渉ですが、無制限に時間をかけるわけにはいきません。開発工事の時間が長くなればなるほど経費が積み上がります。お互いの落しどころを見つけて交渉をまとめていかねばならないのです。場合によっては計画の見直しや、収用などの法的手続きを検討する必要もあります。開発により街が便利に、良い環境になっていくことが目標であり、可能な限り話し合いで交渉をまとめていくことが望まれます。

3 契約

 交渉がまとまると契約です。売買契約、補償契約、仮住い契約、交換契約など移転方法によって異なり、または複数の契約を締結することもあります。いずれの契約も内容の確認をして、納得してから契約締結=押印を行うことが重要です。金額については100%納得されない場合も多いでしょうが、契約書の内容については完全に納得してからの締結が必要です。多くの場合、税金の申告や課税に影響があるからです。土地売却なら譲渡所得課税、補償金で代替地を買えば居住資産の買い替え控除など数多くの税金関係のお話が出てきます。補償金全額を新たな土地建物に投入できるのではないことから、税務署や税理士など専門家に相談する必要があります。

土地建物買収対象になったときは「行政書士ひらいあきら」にご相談ください。