戸籍の届出

戸籍
戸籍

戸籍の届出には種類があります。出生や死亡などの報告的届出と婚姻、協議離婚などの創設的届出です。ただし、報告的な婚姻届や裁判での離婚など報告的な届出もあります。紹介していきましょう。

出生届
 子が生まれて14日以内に届け出る戸籍上の報告的届出です。国外で生まれた場合は3か月以内の届出が義務付けられています。市区町村役場に出生証明書と一体となった届出書がありますが、多くの場合病院や助産師が出産証明書に記載した出生届を受け取ることが多いでしょう。子の名前を決めて、本籍地、住所地または子の出生地を管轄する市区町村役場へ提出することになります。いずれも本籍地の役場へ送られ、親の戸籍に登載されます。本籍地から住所地へ連絡されて住民票が作成され、個人通知番号通知書も送付されてきます。
 国外の場合、出生国で国籍が付与される国があり、国籍留保届をしないと日本国籍を失うことになります。父母いずれかが日本人の場合、日本の戸籍に登載されるのですが、名前にミドルネームをつけたい場合やカタカナ表記にしたい場合もあるでしょう。日本では氏と名しかないため親の苗字以外は名になります。文字数に制限がないのでミドルネームは名に表記することになります。名はカタカナでも大丈夫です。
 子は両親の戸籍に登載されるのですが、母親が婚姻関係にない場合や離婚したばかりの場合、婚姻中の夫以外との間の子だった場合はどうなるでしょうか。母が未婚の場合は親の戸籍から独立し、子は母との新たな戸籍に登載されます。離婚した場合や婚姻中の夫以外との子の場合は、原則夫の戸籍に登載されます。婚姻中の子は戸籍上の夫婦の子、離婚したばかりで生まれた子は婚姻していた夫婦の子と推定されるきまりになっているからです。もちろん事実と異なるため修正することは可能ですが、家庭裁判所での手続き等が必要となり時間を費やすことになります。そのため出生届を出さず、予防注射や義務教育などの行政サービスが受けられないなどの社会問題が取り上げられたこともあります。現在はDNAなどの生命科学の進歩に伴い、正確な親子関係を反映した手続きが行えるような方向性が模索されています。

認知届
 両親が婚姻関係にない場合、父親から自分の子であることを認めて、父親欄に自分の氏名を表記させる届出です。届出により生まれる関係なので創設的届出であり期間の定めや添付書類はありません。父親の戸籍には認知した旨が記載されますが、転籍をした場合移行されません。子の戸籍には掲載され続き父親欄の記載もあるので最新の戸籍の状態でもわかります。このため父親である者の相続が発生すると、苗字の異なる認知された子がいないかどうか明らかにするために戸籍を集めないといけないのです。

婚姻届
 一般に結婚届ともいわれますが正式には婚姻届といいます。男女及び成人の証人2名により創設される届出です。多くの場合、親の戸籍にある男女それぞれが婚姻により新しい戸籍を作製し、親の戸籍から除籍されて新戸籍に入籍します。この際に戸籍の先頭にたつ者、「筆頭者」を決めるため夫婦いずれかの姓を名乗ることにします。かつては夫の氏を名乗ることが多く、妻の姓を名乗るために夫になる者を妻の両親が養子にして同じ姓にして同時に婚姻届という流れもありました。現在は18歳で成年となることから男女とも18歳で婚姻届を提出できます。  
 最近は珍しくない国際結婚の場合は少し複雑になります。いずれかが日本国籍の場合、親の戸籍から除籍されて新しい戸籍を親と同じ姓で作製し入籍します。婚姻した旨の記載もなされます。日本人は戸籍により婚姻可能条件が明確ですが、外国人の場合は戸籍を持つ国はわずかで、一夫多妻制度の国もあり、日本での婚姻条件をクリアしている証明書が必要になります。その婚姻要件具備証明書と訳文を添付し届出します。外国籍同士でも婚姻届を提出することは可能ですが、同様に婚姻要件を備えている証明書を添付し届出ますが、戸籍はつくられません。
 海外で挙式し、その国の方式で婚姻した場合はどうなるでしょうか。出生届と同様に「婚姻しました」という報告的届出になります。海外での婚姻証明書を添付し届け出ます。日本語の訳文をあわせて提出することになり、この場合は証人2名は不要になります。
 「入籍届」という言葉もよく聞きますが、これはいずれかが親の戸籍ではなく既に筆頭者として戸籍が作製されている場合に、その姓で婚姻するとき入籍するといわれます。届け出は婚姻届になります。

離婚届

養子縁組届

転籍届

死亡届